2013年8月31日土曜日

作家プロフィール 上江洲菜摘

    山高帽のようなものを被ったような頭部、腕は省略され、片方の足を一歩踏み出した横向きの人物の図像は記号のようでもあり、また彼女の年齢にそぐわない古風な趣がある。山高帽のつばにあたる線の高さや頭部の長さが微妙に違いながら連続し、なだらかな稜線を描いてリズミカルに連なる群像は一度見たら忘れられない。この山高帽紳士の由来を知りたいと思っていたが、その機会を得ぬまま彼女は卒業してしまった。ただ彼女が高校生の頃、その群像を彼女が描き終わったときに題名はどうする、と教師が尋ねたら「ともだちのひと」と答えたそうだ。確かに、人物像の下には、友達や教師の名前が書き込まれていることがある。人を表す象徴のように描いているのかも知れない。

 美術が得意な彼女が、丹念に描き一人一人違う色で仕上げていくこの群像は人気があり、彼女がまだ在学していた頃、学校で作られるTシャツなどの図柄などによく用いられていた。展示会で再び出会うことができた山高帽子紳士の出自を想像しながら鑑賞したいと思う。
上江洲菜摘 作

0 件のコメント:

コメントを投稿